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三脚の知識(その3)自由雲台付カーボン三脚

日本では、三脚と雲台を「一体のもの」として売るのが一般的です。

ヨーロッパ向けでは、高級品は「三脚と雲台をバラバラで売って、ユーザー側が組み合わせをチョイスする」ものという認識です。アメリカは日本に近い売り方なのですが、詳しくない方でも三脚が選びやすい、日本のセット売り方式が世界的になってくると思われます。三脚を販売するとき、通常は「3ウェイ雲台」をセットして売るのが一般的です。

スリックでは昔、自由雲台をセットして販売した製品が2つありました。昭和40年代の「グッドマンS-102」と昭和50年代の「スプリント66ブラックカスタム」という2製品ですが、ごく少量の販売でした。

自由雲台は「最初に3ウェイ雲台付で三脚を買った後に自分で付け替えるアフターパーツ」という存在でした。安い三脚ではまだしも、一定以上の価格の製品は、3ウェイ雲台付が当たり前でした。

しかし、2000年代前半に「高精度自由雲台ブーム」の時代があり、ケンコーの自由雲台FPシリーズがものすごく人気があったため、スリックのカーボン三脚とセットした製品を企画しました。

当時のカーボン三脚「プロ 803 DX-BK」「プロ 804 DX-BK」「プロ 703 DX-BK」の3機種に対して、ケンコーの自由雲台「FP-100」「FP-90」シリーズを標準装備とした「プロ 803 FA」「プロ 804 FA」「プロ 703 FA」として発売しました。

この製品のネーミングに、ケンコーの自由雲台の「FP(ケンコーではフリーターンパンヘッド=自由雲台としていた)」の文字を使用しませんでした。スリックでフリーターン、といえば1960年代初頭に開発したスリックマスターの「フリーターン雲台」(パンハンドル付の雲台ながら、自在に方向転換が可能なもの)の意味となってしまいます。そこで自在にアングルが決められる「Free」「Angle」からFAとしました。

2002年のことです。決して安いものではなかったのですが、当時、生産がなかなか追いつかないほどの人気商品となりました。

以後、スリックではラインナップのいくつかに「自由雲台標準装備」という製品を販売し続けています。


自由雲台のメリットは大きく2つ

1つは「一カ所の操作で構図を決めることができる」ということです。ボールの上にカメラ台が載る構造ですから、ボールの位置関係で、上下・左右・縦横といった構図の決定を瞬時に決めることができます。

もう一つのポイントが軽量化。ハンドル付の3ウェイ雲台などと比較すると、半分程度の重さで同等程度の性能となります。

カーボンに自由雲台をセットすると、通常の3ウェイ雲台付モデルよりも300グラムは軽量化できました。カーボン三脚の「軽さ」のメリットを引き出すことができるといっていいでしょう。そう考えれば、カーボン三脚には自由雲台がピッタリ、ということができると思います。

現在は「カーボンマスター 713 FA-BK」と「カーボンマスター 714 FA-BK」を販売しています。自由雲台との組み合わせでより快適に持ち運べることと、高精度の自由雲台で快適にフレーミングを決められるところがポイントです。

 

高精度自由雲台」とそうでないモノの違い

2000年代前半には、「高精度自由雲台ブーム」がありました。

自由雲台の欠点は「しっかり締めたつもりなのに構図がずれてくる」というものです。一般的な自由雲台は、しっかり固定すれば多少重い機材でもきちんと固定されますが、締め方が甘いとカメラが動いてきてしまいます。

ケンコーのFPシリーズ自由雲台は、ボールの加工精度を上げることで、締め付け時の感触をよくし、軽い力でもしっかり固定できる構造が特長です。その後、高精度雲台をスリック社内で立ち上げ「SBH550」他3種の自由雲台をラインナップしました。

一般的な自由雲台のボール部分はアルミダイカスト製で、金型によりボールの形状を決めるため、精度が低く、軽く締めただけでは固定力が十分でないのですが、高精度タイプはボールを「機械加工」で作ることから、固定力をあげることができるのです。

このあたりの「感覚的な性能」は日本製でないとまだまだ無理というところがあります。

カタログで「高精度自由雲台」をうたっている製品でも、実際に操作感を試してみれば、本当に精度が高いものとそうでないものは雲泥の差があります。

高精度タイプは「締める」「緩める」という動きが本当にスムーズで、早く、確実に構図の決定ができます。

三脚ユーザーの問題点の一つである「手持ちなら構図を簡単に決めることができるのに、三脚を使うと構図が自由にならない」というのは、3ウェイ雲台を使うからこそ起きる問題だと思われます。3ウェイ雲台は、操作箇所が3カ所もあり、構図の調整に慣れないとファインダーから目を離しての操作となります。そうすると構図の決定が容易でなくなり「三脚は使いたくない」ということになります。

自由雲台ならボールの固定ネジを一カ所緩めるだけで、手持ち並みの自由度で簡単に構図決定ができるのです。スリックのSBHシリーズのうち「高精度機械加工」の「SBH-280」「SBH-320」「SBH-330」「SBH-550」はその意味で本当に優れた雲台です。

 

※この記事は「全連通報」(全日本写真材料商組合連合会の機関誌)に連載している「売り上げ増につながる!写真用品の知識」を一般向けに加筆・修正したものです。

※内容の引用等、ご活用ください。


 

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