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三脚の知識(その5)運動会やイベント撮影で役立つ「一脚」

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現代によみがえった、つえ兼用一脚「スリックフォトストック3N」

 

三脚の知識(その5)と銘打ちながら「一脚」というのも不思議な感覚ですが、運動会やお祭り、旅行などのイベントで使われることが多いのが一脚です。

「三脚は場所を取る上に重いから、一脚なら旅行なんかにいいかも」と三脚の「代用」と思われがちな一脚は、三脚と全く別モノである、というのは専門家の解釈なのでしょうか。三脚はどんなに細くて小さくても、カメラを載せれば自立します。(もちろん、載せるカメラと三脚とのバランスもありますが)

一脚は、三脚のように自立しない、いわば「手持ちの補助具」です。一般に「手持ちの限界」といわれるのがレンズの焦点距離分の一秒、35mmレンズならだいたい1/30秒、200mmレンズなら「1/200秒」のシャッターを切ればOK、というのが過去の感覚でした。デジタルが主流である今は、そうとはいえない状況です。なんせ、パソコンのモニターに「ピクセル等倍サイズ」で映し出せば、誰でも簡単に、印画紙に引き伸ばしたときの「全紙サイズ」くらいの感覚で画像をチェックできるのですから・・・L判サイズのプリントでは気にならなかったようなブレでも、大きく気になります。カメラに手ぶれ補正があれば大丈夫?という意見もありますが、厳密にブレを押さえ込むなら一脚を使った方が確実というものです。(もちろん、カメラ・レンズに合わせた三脚を使えばさらに確実です。)手持ち撮影では、自分の力で支えなければならないカメラの重量も、一脚を使えば、一脚自体が支えてくれますので、シャッターチャンスをじっくり待つことができます。運動会やイベントのシャッターチャンス待ちで、多くのカメラマンが並ぶシーンでは、足場を取らずに待っていることができるメリットは大きいものです。

さらにビデオカメラでの映像を安定させて撮影することもできます。一脚は、ビデオカメラ用の雲台でなくてもしっかり上下ブレを防いで安定した映像を撮ることができますので、カメラ用、ビデオ用にこだわらずに使うことができます。

今では多種多様な製品が用意されている一脚ですが、スリックの一脚の歴史は古く、1950年代の「日本カメラ年鑑」を見ると当時発売されていたことが確認できます。当初のスリック一脚はスリック創業者のアイデアによる「ステッキ兼用」でした。現在はスリック「フォトストック2」「フォトストック3N」の名前で、ウォーキング用のストックと兼用タイプがありますが、当時の「ステッキ兼用」は持ち手が曲がった、本当にステッキらしいスタイルのもので、持ち手部分の上部に自由雲台が飛び出しているものでした。

現在売られている製品に近いものが登場したのは1970年代初頭のことでした。当時新発売となったスリック「システム三脚」の一貫として、三脚に取り付けるポール「Sポール」を発売したのです。現在はモデルチェンジした「SポールII」を発売していますが、その元となったSポールは、丸パイプの「一脚兼用延長棒」として、1970年代の初めから、1995年まで売られたモデルでした。

スリック「システム三脚」は1970年代の初め頃、脚パイプと本体を組み替えて自分好みに使える製品、として考えられたものですが、その中の「ローアングル撮影専用三脚」S-101と組み合わせて使えるポールとして登場したのがSポール。低い三脚と組み合わせて「スタンド的」に使えるというものでした。もちろん一脚としても使用できます。現在発売中のSポールIIと同様、太いパイプでしっかりした造り。雲台は別売で、雲台がない状態でも、三脚座付きの望遠レンズなどは直接取り付けが可能です。単なる一脚と異なる「延長棒」としての機能は、一脚の上下にあるプレートと石突ゴムを外すと、太いパイプの先にメスネジ、細いパイプの先にオスネジがあって、三脚の脚部と雲台部の間に取り付けができる、というものです。初期のSポールは延長棒としての機能が第一で、一脚としての機能が「ついで」だったため、一脚として使用するときのプレートと石突ゴム(中にオスネジに取り付けるための金具が入っている)を「別売」としていました。

Sポールが多くの人の印象に残っているとすると、1990年代頃の「カメラショーでのデモンストレーション」ではないでしょうか。当時の広報部長が気に入って使っていたのがSポールと小型三脚「プロミニ」の組み合わせです。

プロミニは単体でも「テーブル三脚」「胸当て式三脚」として使うことができますが、付属の自由雲台が取り外し可能なため、雲台と脚部の間に「Sポール」を取り付けると「一脚型三脚」というか「自立脚付一脚」として使用できます。

 

 

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三脚との接続機能がある「SポールII」

 

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SポールIIの使用例

自立脚付一脚という製品は、他社製品で存在しますが、一脚から引き出し式の脚が飛び出す、というものですが、一脚単体で使いたい、となるとその分重くなってしまいます。Sポールは単体でも使えて組み合わせでも使える、ということがユニークな造りだと考えます。

1995年にパイプ同士の空転をなくした溝入丸パイプ採用の改良版「SポールII」にモデルチェンジ。短い三脚の延長棒としての姉妹品「SポールデジタルBK」「同TI」というバリエーションも増えて、現在も販売中です。Sポールデジタルは短いので一脚としては使用できませんが、ハイアングル撮影時のポールとしての活用も可能です。

 

 

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Sポールの新バリエーション「SポールデジタルTI」

 

※この記事は「全連通報」(全日本写真材料商組合連合会の機関誌)に連載している「売り上げ増につながる!写真用品の知識」を一般向けに加筆・修正したものです。

※内容の引用等、ご活用ください。